私も以前はそうでしたが、強迫性障害で苦しまれている皆さまは、藁にもすがる気持ちで、「とにかく強迫性障害を治したい!」と思うでしょう。
強迫性障害は地獄のような苦しみさえ伴いますから、それは当然のことです。
ただ、少し考えてみてください。
あなたはなぜ、強迫性障害を治したいのでしょうか?
「それはもちろん、楽になりたいからだ!」
と、お怒りの声が聞こえて来るようで、申し訳ない気持ちになります。
しかし、そのお怒りの火に油を注がせていただきますが、あなたにとっての「楽」って一体何でしょうか?
実は、そこをどれだけ具体的に思い描けているかで、強迫の改善の早さが変わってきます。
「楽になりたい」だけではなく、「楽になってどうしたいか」が重要となります。
例えばですが、「海外旅行に行きたい」、「美味しいゴハンを思い切り食べたい」など、その答えは皆さまそれぞれだと思います。
そしてさらに言えば、今挙げた例ですと、海外旅行であれば、どこの国に行き何をしたいか、美味しいゴハンであれば、何をどこで誰と食べたいか、など、具体的であればあるほど、強迫改善の強力な助けとなります。
マラソンにはゴールがあるからこそ、そこを目指す情熱が湧くように、明確なゴールを思い描くことにより、そこに辿り着きやすくなるのです。
これは、強迫改善に限った話ではありません。
例えば、「貧乏から抜け出したい」「お金持ちになりたい」だけでは、お金を稼ぐことは難しいかも知れません。
そこに、稼いだお金を何に使い、何を得たいか、という具体性が伴ってこそ、現実化しやすくなります。
強迫で、脳からの指令に従わざるを得ない、苦しい日々の中、ほんの少しでも、「心」の声を聞いてあげましょう。
「脳の妄想力」は散々使わされているのですから、「心の妄想力」も働かせて、望む未来を思い描いてみましょう。
するといつの間に、強迫を治すことが目標から過程に変わってきますので、強迫から解放されて「楽」になるだけではなく、「楽しい」がどんどん増えてくるはずです。